Dreame Cyber XとX60 Pro Ultra Completeは、ロボット掃除機の次の競争軸を「吸引力」だけでなく、段差、壁際、複数階の移動をどこまで自動化できるかへ押し出す製品です。ただし、日本の家庭で今すぐ買うべきかと聞かれれば、答えは慎重です。X60 Pro Ultra Completeは欧州・英国で商品化が進んでいますが、Cyber Xは階段を扱う高リスクな機構であり、日本向けの販売、保証、階段条件、アプリ対応が見えるまで待つ方が失敗しにくいです。
本稿は2026年9月1日時点の公開資料を整理したものです。編集部による実機テストではありません。Dreame、Roborock、ECOVACSなど中国系ロボット掃除機全体の位置づけは、先に中国ロボット掃除機ブランド比較を読むと分かりやすいです。消耗品と維持費を見たい場合はロボット掃除機のメンテナンス費用で別に整理しています。
Dreame X60 Pro Ultra Complete。画像:Dreame UK公式ストア
まずX60 Pro Ultra Completeとは何か
X60 Pro Ultra Completeは、Dreameの欧州・英国向け上位ロボット掃除機です。英国公式ストアでは、価格は1,299ポンド、白と黒の2色、3年保証、42,000PaのVormax吸引、HyperStream Anti-Tangle DuoBrush 2.0、AI OmniSight System 3.0、ホットウォーターモップ、最大10cmの段差越え、18cmまで伸びるデュアルジョイント式ロボットアームが説明されています。
従来のロボット掃除機は、部屋の中央はきれいにしても、巾木沿い、椅子脚の周囲、ソファ下の奥、キッチンの隅に弱い製品が多くありました。X60 Pro Ultra Completeの特徴は、吸引力の数字よりも、サイドブラシとモップを本体外へ伸ばす構造です。Dreameの発表では、サイドブラシは最大12cm、モップパッドは最大18cm伸び、壁際や家具周辺を狙います。
| 見るべき点 | X60 Pro Ultra Completeの公称内容 | 日本の家庭での意味 |
|---|---|---|
| 吸引 | 42,000Pa、HyperStream DuoBrush 2.0 | 数字だけでなくブラシ絡みと床材を見る |
| 壁際 | サイドブラシ最大12cm、モップ最大18cm | 巾木・椅子脚まわりの残りやすい汚れに効く可能性 |
| 段差 | 最大10cmの障害物越え | 敷居やラグには有利だが階段移動とは別問題 |
| ナビ | AI OmniSight 3.0、320種以上の障害物認識 | ケーブル、ペット用品、光沢床で実力差が出る |
| 価格 | 英国公式1,299ポンド、ドイツ公式1,499ユーロ | 日本正式価格が未確定なら急いで輸入しない |
ここで重要なのは、X60 Pro Ultra Completeの「10cm段差」とCyber Xの「階段移動」を混同しないことです。前者は室内の敷居や段差を越えるための能力です。後者は別モジュールがロボット掃除機を階段で運ぶ構想です。広告で同じ「段差」や「stair」と見えても、失敗したときの危険度はまったく違います。
Cyber Xは掃除機本体ではなく階段移動システム
Cyber Xは、DreameがX60 Proシリーズと組み合わせて示した階段対応モジュールです。公式発表では、Bionic Quad-Track Stair Climbing System、独立3D ToF Vision、三重ブレーキ、6,400mAhバッテリー、アプリで最大4フロアの管理、X60 Proシリーズ全体との互換性が説明されています。発表上は、直線、L字、螺旋、オープンライザー、カーペット階段など複数の階段形状を想定し、42度までの傾斜、30cmの初段、35cmまでの障害物に対応するとされています。
仕組みとしては、掃除機本体が自力で階段を掃除しながら昇るというより、Cyber Xが階段を認識し、対応するX60 Pro系ロボットを別フロアへ移す役割に近いです。下りでは後方の清掃モジュールがデュアルサイドブラシと6,000Pa吸引で階段上のゴミを取る、とDreameは説明しています。
これは面白い発想ですが、現時点では「複数階の床掃除をつなぐ高価な機械」と考える方が現実的です。階段の踏み面、蹴上げ、幅、滑りやすさ、手すり、踊り場、ペットや子どもの接近、落下時の損害まで関係します。ロボット掃除機本体より、設置条件の確認が重くなります。
第三者レビューで見える強みと弱点
SensesのX60 Pro Ultra Complete実機レビューは、42,000Pa吸引、10cm段差、デュアルアーム、100度のモップ洗浄を高く評価しています。特に、従来機が苦手だった高い敷居と角の清掃を大きく改善した点を長所に挙げています。一方で、反射面が光学系を惑わせること、壁際を丁寧に処理するぶん掃除速度が少し遅いこと、アプリがやや複雑なこと、価格が高いことも弱点として記録しています。T3のレビューも、強い吸引、ペット向け機能、エッジ清掃を評価しつつ、英国価格が約1,300ポンド級の高級機である点を前提にしています。
HomeKit Newsは、X60 ProシリーズをMatter対応を含む新ラインとして整理し、Cyber XについてもX60 Proシリーズと組み合わせる階段対応ロボットとして紹介しています。同記事でも、Cyber Xの価格や市場別の入手性は未確定とされています。つまり、第三者資料からも「階段を全部任せられる完成品」と断定するより、「実用化が近づいたが、価格と適合条件を慎重に見る製品」と読むのが妥当です。
Dual UltraExtend Armsを示す公式画像。画像:Dreame Germany公式ストア
日本で待つべき理由
日本で特に注意したいのは、階段や玄関まわりの条件です。戸建てでも、階段の幅、曲がり、手すり、滑り止め、途中の踊り場、段鼻の形状は家庭ごとに違います。集合住宅では、共用階段へロボットを出す発想自体が現実的ではありません。玄関の段差や室内の小さな敷居を越えるだけならX60 Pro系の段差性能で足りる可能性がありますが、階をまたぐ自動移動は別のリスクです。
ロボット掃除機は水も扱います。モップ洗浄、給水、汚水タンク、洗剤、温水洗浄が絡むため、床材と水漏れにも注意が必要です。特に自動給排水モデルや大型ドックを検討する場合は、設置場所、排水、メンテナンス、漏水検知まで考える必要があります。水まわりの自動化リスクはスマート水漏れセンサーと自動止水でも扱っていますが、センサーは事故の早期発見であって、設置リスクを消すものではありません。
もう一つは日本正式販売です。Dreame JapanがX60 Pro Ultra CompleteやCyber Xを日本向けに販売する場合、見るべきなのはグローバル動画ではなく、日本語の保証、交換部品、消耗品、アプリ地域、電源仕様、修理受付、階段適合条件です。英国価格や欧州価格を円換算して「安い」「高い」と判断しても、送料、税、保証、返品、ドック消耗品で実際の負担は変わります。
どの家庭なら候補になるか
X60 Pro Ultra Completeが向くのは、部屋数が多く、椅子や家具の脚が多く、壁際の掃除残しを減らしたい家庭です。ペットの毛、砂ぼこり、キッチンの皮脂汚れがあり、ロボット掃除機を毎日使うなら、伸びるブラシ、伸びるモップ、高温モップ洗浄、絡みにくいブラシの価値は出やすいでしょう。Dreameの水拭き掃除機やRoborock、Tinecoとの違いは中国系水拭き掃除機比較も参考になります。
Cyber Xが本当に候補になるのは、複数階に生活空間が分かれ、各階に掃除機を置きたくない戸建てです。毎日2階へ掃除機を持って行く、階段の途中にゴミがたまりやすい、フロアごとに地図を使い分けたい、といった悩みがあるなら、発想としては魅力があります。
逆に、ワンフロアのマンション、階段が急な家、小さな子どもやペットが階段へ出入りする家、狭い踊り場や荷物の多い階段では向きません。階段対応はロマンがありますが、落下や接触のリスクを負ってまで導入する必要はありません。ロボット掃除機を一台増やして各階へ置く方が安く安全な場合もあります。
購入前チェック
| 確認項目 | X60 Proだけで見る場合 | Cyber Xまで待つ場合 |
|---|---|---|
| 販売地域 | 日本正規販売、保証、消耗品 | 日本でCyber Xが販売されるか |
| 段差 | 敷居、ラグ、玄関框の高さ | 階段1段目、踏み面、踊り場、幅 |
| 水まわり | ドック周辺の防水、汚水処理 | 階段上で水拭きをどう扱うか |
| 家族安全 | ケーブル、ペット用品、子どもの玩具 | 階段で人やペットと交差しないか |
| コスト | 本体、紙パック、ブラシ、モップ | Cyber X追加費用、修理時の輸送 |
個人的には、X60 Pro Ultra Complete単体は「高価格でも壁際と段差を重視する人の上位候補」、Cyber Xは「日本正式発表を待って条件表を確認すべき製品」と分けて見るべきです。階段対応の映像だけで判断せず、まず自宅の階段寸法を測り、Cyber Xなしで困っていることが本当にあるかを確認してください。
結論:X60 Proは上位候補、Cyber Xは日本条件待ち
Dreame X60 Pro Ultra Completeは、42,000Pa吸引、伸びるブラシとモップ、10cm段差、100度モップ洗浄をまとめた強いフラッグシップです。公開レビューでも、高い敷居と角の掃除というロボット掃除機の弱点をかなり押し込んでいます。
しかし、Cyber Xはさらに別の段階です。複数階の自動掃除を現実に近づける面白い仕組みですが、階段は家庭内でも事故リスクの高い場所です。日本の読者への結論は、X60 Pro系の日本正規展開を見つつ、Cyber Xは価格、階段適合、保証、実測レビューがそろうまで待つです。今すぐ並行輸入で階段対応を試すより、日本向けの条件が見えた段階で、自宅の階段と家族構成に合うかを冷静に判断する方が安全です。
※製品画像はDreame公式ストア掲載素材を使用しています。仕様、価格、販売地域は2026年9月1日時点の公開資料に基づきます。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。