停電時に冷蔵庫、照明、通信を守る最初の一台なら、容量1,000Wh前後・定格1,500W級が扱いやすい中心帯です。2026年8月24日時点の日本向け現行モデルで比べると、拡張性とソーラー再充電を重視するならEcoFlow DELTA 3 Plus、持ち運びと新世代の長寿命を重視するならJackery 1000 New V3、本体価格と小ささのバランスならAnker Solix C1000 Gen 2が分かりやすい結論です。
ただし、1,000Whは「家中を普段どおり動かす容量」ではありません。実際にAC家電へ取り出せる量は変換損失や待機電力で公称容量を下回り、1,500W出力も1,500Wの家電を長時間使える意味ではありません。本稿は実機比較ではなく、日本公式仕様、第三者レビューと公的安全資料を照合した選択ガイドです。
3機種を先に比較
| 項目 | EcoFlow DELTA 3 Plus | Jackery 1000 New V3 | Anker Solix C1000 Gen 2 |
|---|---|---|---|
| 公式通常価格の口径 | 149,600円、確認時セール74,800円 | 109,800円、確認時予約セール72,468円 | 99,990円、確認時セール69,990円 |
| 容量 / 定格AC出力 | 1,024Wh / 1,500W | 1,024Wh / 1,500W | 1,024Wh / 1,550W |
| 重量 | 約12.5kg | 約10.6kg | 約11.3kg |
| 公称サイクル寿命 | 4,000回後80%以上 | 6,000回後70% | 4,000回以上 |
| 停電時切替 | 10ms未満 | 10ms以内 | 約20ms |
| ソーラー入力 | 最大1,000W、500W×2 | 公式は200W時7.5時間の例、2系統接続条件あり | 最大600W |
| 容量拡張 | 最大5kWh | 非対応 | 非対応 |
| 保証 | 5年 | 5年 | 18か月+会員登録後42か月 |
| 第一候補になる人 | 長期停電、増設、発電重視 | 軽さ、収納、家族での共有 | 価格、小型、Ankerの国内窓口 |
価格は公式ストアの表示で頻繁に変わります。セール率だけでなく、本体単品かパネルセットか、納期、保証登録、回収条件まで買う直前に確認してください。三機種ともLFP(リン酸鉄リチウムイオン)ですが、サイクル回数の残容量条件が70%と80%で違うため、数字だけの単純順位にはできません。
DELTA 3 Plus:停電が長引く前提なら強い
1,024Wh、1,500W、2系統合計1,000Wのソーラー入力を持つDELTA 3 Plus。画像:EcoFlow Japan公式
DELTA 3 Plusの強みは、本体の出力より「充電して戻す経路」と「後から増やす経路」です。公式仕様は1,024Wh、定格1,500W、約12.5kg。ACでは最短56分、ソーラーは500W入力を2系統使って合計最大1,000W、専用バッテリーで最大5kWhまで拡張できます。
TechRadarは家庭、庭、車内、移動中で実機を試し、充電の速さ、静音性、筐体と10ms切替を高く評価しました。一方、同媒体も価格を弱点に挙げています。公式ページでは本体や拡張バッテリーが一時的に売り切れ・予約表示になることもあり、「後で増やせる」は必要なアクセサリーが買えることを保証しません。
向くのは、冷蔵庫と通信だけでなく、翌日にソーラーパネルや走行充電で戻したい人、数年後に2~5kWhへ拡張する可能性がある人です。逆に、年数回だけ持ち出し、200Wパネル1枚で十分なら、重さと周辺機器代を使い切れない可能性があります。
Jackery 1000 New V3:軽く、停電時の操作を分けやすい
前代1000 Newから小型化し、AC出力のグループ制御を追加した1000 New V3。画像:Jackery Japan公式
2026年7月24日発売の1000 New V3は、旧稿で扱っていた1000 Newの後継です。容量は1,070Whから1,024Whへ少し減りましたが、重量は約10.6kg、サイズは314×201×234mmへ縮小。公称サイクル寿命は4,000回から6,000回へ増え、3つのAC口を2グループに分けてオン・オフできるようになりました。
停電時に冷蔵庫系と調理系を分け、不要な側だけ切る操作は実用的です。通常AC充電は約73分。公式の「最短50分」はACとソーラー/DCの同時入力条件なので、ACケーブルだけの数字として読まないでください。UPS切替も10ms以内ですが、Jackery自身が0msではなく、サーバーやワークステーションへ使わないよう注意しています。
第三者の提供レビューでは、1,024Wh級として扱いやすい大きさや操作性が確認されています。ただし発売直後で、独立した長期劣化や真夏・低温での継続データは前代ほど蓄積していません。公称6,000回を実使用寿命の保証と読み替えないことが重要です。
向くのは、クローゼットから取り出して家族が運ぶ、車へ積む、高齢の家族と操作を共有する人です。容量拡張が必要なら同じJackeryでも1000 Plus V2など別系統を検討すべきで、V3を後から拡張できるとは考えないでください。
Anker Solix C1000 Gen 2:本体価格と小型性を優先
1,024Wh、1,550W、約11.3kgのC1000 Gen 2。画像:Anker Japan公式
C1000 Gen 2は、容量1,024Wh、定格1,550W、約11.3kg。超急速モードでは20℃のメーカー試験条件で54分、通常モードは約60分、ソーラー入力は最大600Wです。会員登録により合計5年保証となるため、購入経路と登録条件を保存しておく必要があります。
OutdoorGearLabは現行Gen 2を実測し、携帯性、充電速度、出力を評価しています。一方、小型化は容量拡張を捨てた設計でもあります。前代C1000用BP1000をGen 2へ接続できると考えないでください。また、公式の「20dB」は600W以下の入出力条件であり、急速充電や高負荷時の静音性を保証する数字ではありません。
確認時の公式セール価格は三機種で最も低く、本体単品を早く安く揃えたい人には強い選択です。1,024Whを使い切った後の回復能力はDELTA 3 Plusより小さいため、長期停電より一晩の冷蔵庫・照明・通信、キャンプや短い車中泊に向きます。
1,024Whで何を優先するか
停電時は「動かせる家電」より「残すべき電力」を決めます。AC変換後に使える量を仮に公称の80%と置くと、1,024Wh機で約820Whです。実値は負荷、温度、待機電力で変わるため、次は設計用の概算にすぎません。
| 負荷の例 | 消費電力の置き方 | 約820Whでの単純計算 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 光回線終端装置+Wi-Fi | 20W | 約41時間 | 連絡手段として優先しやすい |
| LED照明2灯 | 20W | 約41時間 | 必要な部屋だけ点灯 |
| 冷蔵庫 | 平均40Wと仮定 | 約20時間 | 起動電力と実測Whを確認 |
| 電気毛布 | 50W | 約16時間 | 冬は有効、温度設定で変動 |
| 電子レンジ | 1,300W | 約38分相当 | 短時間調理に限定 |
| IH調理器 | 1,400W | 約35分相当 | 容量を急速に消費 |
冷蔵庫の平均消費は機種と季節で大きく変わります。ワットチェッカーで24時間のWhを測り、ルーター、照明、医療・介護機器を先に積み上げてください。医療機器はポータブル電源の切替時間や波形だけで自己判断せず、機器メーカーのバックアップ要件を確認します。
UPS表示だけでサーバーを守れるとは限らない
10msや20msの切替は便利ですが、オンラインUPSの0ms切替と同じではありません。接続機器側の保持時間、突入電流、ポータブル電源の残量、アプリ設定で結果が変わります。NASやルーターで使う場合も、停電テストは重要データを保存した状態で行い、シャットダウン連携の有無を確認してください。
また、住宅コンセントへ逆向きに差して家の配線へ給電してはいけません。100V家電は本体の出力口へ直接接続します。家全体、200Vエアコン、エコキュートまでバックアップしたい場合は、切替盤を含む対応システムと専門業者が必要です。BYDのV2Lによる災害給電も、一般的なポータブル電源とは設備条件が異なります。
安全と保管で外せない条件
経済産業省は、AC出力を持つポータブル電源が電気用品安全法の対象外でありながら、火災・感電のリスクを持つとして安全性要求事項をまとめています。NITEも停電時の誤使用事故を注意喚起しています。PSE表示の有無だけで製品全体の安全性を判断せず、メーカー窓口、説明書、リコール、回収経路を確認してください。
- 雨、結露、浸水する場所で本体を使わない
- 吸排気口を塞がず、寝具や紙の近くで高負荷充電しない
- 車内など高温になる場所へ常時保管しない
- 数か月ごとに残量、充電、出力、ケーブルの変色や異臭を確認する
- 膨張、異常発熱、焦げ臭があれば使用と充電を止め、メーカーへ連絡する
- 保証だけでなく、寿命後の回収サービスを購入時に保存する
ソーラーパネルを追加する場合、端子が挿さるだけでは互換性を証明できません。開放電圧Voc、短絡電流Isc、直列・並列、極性とケーブル定格まで照合する必要があります。詳しい手順はポータブル電源とソーラーパネルの互換性ガイドに分けました。
最終結論
防災の最初の一台として三機種とも出力は近く、決め手は「使い切った後」と「運べるか」です。長期停電で翌日に充電し直す、将来容量を増やすならDELTA 3 Plus。毎回家族が運び、難しい拡張をせず1,024Whを使い切るなら1000 New V3。本体価格を抑え、小さな現行機を国内サポート付きで持つならC1000 Gen 2が合理的です。
一方、冷蔵庫と通信だけで24時間の実測が300Wh未満なら、1,000Wh級は余裕があります。エアコンやIHを長時間使いたいなら不足します。ブランド順位から買うのではなく、守る負荷をWhで測り、持ち上げられる重量、保管場所、再充電方法まで決めてから選んでください。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。
- EcoFlow Japan公式:DELTA 3 Plus製品ページ
- EcoFlow公式:DELTA 3 Plusユーザーマニュアル
- EcoFlow Japan公式:保証・無料回収について
- Jackery Japan公式:1000 New V3製品ページ
- Jackery Japan公式:1000 New V3発売情報
- Anker Japan公式:Solix C1000 Gen 2製品ページ
- Anker Japan公式:Solix C1000 Gen 2クイックスタートガイド
- 経済産業省:ポータブル電源の安全性要求事項
- NITE:停電時の携帯発電機・ポータブル電源の事故に注意
- TechRadar:2026年ポータブル電源比較とDELTA 3 Plus実測
- OutdoorGearLab:Anker Solix C1000 Gen 2実測レビュー
- それはハッピーエンドなんだ:Jackery 1000 New V3提供レビュー