HOVERAir X1 PROとX1 PROMAXは、操縦より自動撮影を重視した「AI飛行カメラ」です。手のひらから離陸し、人物を認識して追いかけ、設定した構図で動画を撮影します。スマートフォンや専用ビーコンで操作できますが、通常の空撮ドローンのように送信機を常に構えることが前提ではありません。
この手軽さは、旅行、ランニング、サイクリング、スキーを一人で撮りたい人に魅力的です。しかし、飛行カメラという呼び方でも、日本の法律上は無人航空機です。約192gのX1 PRO・PROMAXを屋外で飛ばすには、購入後すぐ撮影へ出るのではなく、機体登録と飛行場所の確認から始めます。
X1 PROとPROMAXの違い
| 項目 | X1 PRO | X1 PROMAX |
|---|---|---|
| 重量 | 約191.5g | 約192.5g |
| 最大動画 | 4K/60fps | 8K/30fps、4K/120fps |
| HDR | 4K最大60fpsの10-bit HLG | 4K最大60fpsの10-bit HLG |
| 最大静止画 | 12MP | 48MP、DNG対応 |
| 最大ビットレート | 100Mbps | 160Mbps |
| 公称最大飛行時間 | 16分 | 16分 |
本体サイズと飛行性能は近く、主な差はカメラです。SNS用の4K動画が中心ならX1 PROで十分です。スローモーション、8Kからの切り出し、DNG静止画、編集耐性を重視するならPROMAXが候補になります。
8Kは常に高画質という意味ではありません。データ量が増え、編集PC、保存容量、発熱への負担も大きくなります。暗所や速い動きでは、解像度よりシャッタースピード、手ぶれ補正、被写体追跡の安定性が結果を左右します。
AI追跡が撮影の役割を変える
4K撮影に対応するX1 PRO。プロペラはガード内に収まります。画像:HOVERAir公式サイト
一般的なドローンは、操縦者が機体とカメラを動かして構図を作ります。HOVERAirは、Orbit、Follow、Zoom Outなどのプリセットから選び、機体側へ撮影を任せる設計です。自分を撮る場面では、操縦と演技を同時に行う負担が減ります。
一方、AIが人物を認識していても、枝、電線、透明なガラス、細い障害物を必ず避けられるわけではありません。追跡対象が他人と交差する、急に方向を変える、暗所へ入る場面では見失う可能性があります。公式の最大追従速度や耐風性能は試験条件の値であり、障害物の多い日本の公園や住宅地で同じ速度を使う根拠にはなりません。
16分の飛行時間をどう見るか
公称最大飛行時間は16分ですが、これは無風、一定速度、1080p撮影などの条件値です。離陸、構図調整、風への抵抗、4K・8K録画、寒さを含む実使用では短くなります。
1本の長回しを撮るより、撮影地点を決めて数十秒から数分のカットを重ねる製品です。旅行で一日使うなら予備バッテリーと充電ハブが実質的に必要です。撮影後は機体とバッテリーが熱い状態で密閉バッグへ入れず、温度を下げてから充電します。
日本では100g以上の機体登録が必要
8K、4K/120fps、48MP静止画へ対応するX1 PROMAX。画像:HOVERAir公式サイト
日本では、屋外を飛行する100g以上の無人航空機は国土交通省への機体登録が必要です。登録記号を機体へ表示し、原則としてリモートID機能も備えます。X1 PRO・PROMAXは100gを大きく超えるため対象です。
HOVERAirはファームウェアでRemote ID対応を案内していますが、「機能があること」と「所有者が登録を済ませたこと」は別です。DIPS 2.0で機体と所有者を登録し、使用する機体のファームウェア、リモートID設定、登録記号を確認します。
さらに、空港周辺、人口集中地区、150m以上、緊急用務空域などでは飛行許可が必要になる場合があります。夜間、目視外、人や物件から30m未満、イベント上空なども承認対象です。自動追跡で自分の後ろを飛ばすと、機体から目を離す状況が起きやすいため、目視内飛行を維持できる撮影計画が必要です。
公園、河川敷、観光地なら飛ばせるとは限らない
航空法上の許可が不要な場所でも、土地管理者の規則は別にあります。公園、寺社、河川敷、キャンプ場、スキー場、観光施設は、ドローン飛行を禁止または事前許可制にしている場合があります。
撮影前には、DIPSの地図だけでなく、施設管理者、自治体、現地看板を確認します。人の少ない早朝でも、他人の頭上を飛ばしたり、私有地へ無断で入ったりしてよいわけではありません。映り込んだ人の顔、住宅、車のナンバーを公開する際はプライバシーにも配慮します。
アクションカメラとの違い
Insta360やGoProのようなアクションカメラは、身体や自転車へ固定するため、飛行許可や墜落リスクがありません。強風、木の多い道、人の多い市街地ではアクションカメラが確実です。
HOVERAirの価値は、自分から離れた第三者視点を一人で作れることです。道の全行程を記録する機械ではなく、開けた安全な場所で印象的な短いカットを撮る機械と考えると役割が明確になります。
専用ビーコンとジョイスティックを加えると、追跡の安定性と手動操作の範囲を広げられます。ただし、アクセサリーが増えるほど「本体だけで気軽」という利点は薄れ、通常のドローンに近い予算になります。
X1 PROとPROMAX、どちらを選ぶか
- 4K動画を短時間で撮り、編集負担を抑えたいならX1 PRO
- 4K/120fps、8K、48MP静止画を使い切れるならX1 PROMAX
- 人の多い都市や飛行禁止場所が中心なら、まずアクションカメラを検討
PROMAXの高画質は魅力ですが、AI追跡と飛行ルールはPROでも同じです。用途がSNSなら、PROMAXとの差額を予備バッテリー、保険、編集用ストレージへ回すほうが実用的な場合があります。
結論
HOVERAir X1 PRO・PROMAXは、ドローン操縦を趣味にしたい人より、一人で自分の動きを撮りたい人に向きます。自動離陸と追跡は撮影を簡単にしますが、法律、場所の許可、安全確認まで自動になるわけではありません。
機体登録を済ませ、開けた場所で短いカットから練習し、常に中止できる距離で飛ばす。この運用ができるなら、地上のカメラでは作れない視点を、小さな機体で追加できる製品です。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。