中国の撮影機器ブランドZhiyun(ジーウン、智雲)は、長く「DJI以外のジンバル候補」として知られてきました。しかし現在は、カメラ用CRANE/WEEBILL、スマートフォン用SMOOTHに加え、MOLUSやFIVERAYというLEDライトも展開しています。単なるDJIの廉価版ではなく、撮影を支える機材群へ広がっているブランドです。
結論から言えば、Zhiyunは条件次第でDJIの代わりになります。特に、使用するカメラとレンズが互換リストにあり、価格と持ち方が合うならCRANEやWEEBILLは有力です。一方、カメラ制御の対応範囲、アプリの分かりやすさ、追尾機能を含むシステム全体では、製品名や最大積載量だけで決められません。そして現在のZhiyunで最も独自性が分かりやすいのは、ジンバルよりも小型COBライトのMOLUSかもしれません。
Zhiyunの製品群は用途で分けると理解しやすい
| 系列 | 主な対象 | 代表モデル | 特徴 |
|---|---|---|---|
| CRANE | 大型ミラーレス、DSLR、シネマ構成 | CRANE 4 | 高いモーター余力、スリンググリップ、拡張性 |
| WEEBILL | 一般的なミラーレス構成 | WEEBILL 3E | CRANEより軽く、価格を抑えやすい |
| SMOOTH | スマートフォン | SMOOTH 5S AI | 外付けAIモジュールによるアプリ非依存の人物追尾 |
| MOLUS | COB撮影照明 | X100、G300 | 小型100Wからスタジオ向け300W級まで |
| FIVERAY | 棒型・パネル型ライト | M20、M60など | 手持ち、背景演出、近距離補助光 |
この区分を無視して「ZhiyunとDJIはどちらが上か」と比べても答えは出ません。まず、重いカメラを動かしたいのか、スマホで自分を追尾したいのか、被写体に光を当てたいのかを分ける必要があります。
2026年7月29日時点では、公式ストアの日本語ページでCRANE 4、WEEBILL 3E、SMOOTH 5S AI、MOLUS X100/G300の販売表示を確認できます。表示通貨は米ドルで、確認時はCRANE 4が669ドルから、WEEBILL 3Eが199ドル、SMOOTH 5S AIが135ドル、MOLUS X100 RGBが242ドルでした。セール、セット内容、送料、国内販売店の円価格で総額は変わります。価格だけを横並びにせず、グリップ、追尾モジュール、バッテリー、ソフトボックスまで含めて比較します。
CRANE 4は大型機材向け。軽い撮影を楽にする製品ではない
CRANE 4はフルサイズミラーレスやDSLRを想定した3軸ジンバルです。内蔵ライト、タッチ画面、Bluetoothによる対応カメラの録画操作、スリンググリップとリストレストなどを備えます。軸ごとのバランス状態を光で知らせる仕組みも、セットアップ時の判断を助けます。
Digital Camera Worldは、パン・チルト・ロールの滑らかさ、内蔵ライト、操作画面、持ち方の自由度を評価しています。Amateur Photographerも、軸ごとのバランス表示とメニュー操作を肯定的に評価する一方、調整アームは新品時にやや硬かったと報告しています。
ただし、強いモーターが物理的なバランス調整を不要にするわけではありません。カメラ、レンズ、NDフィルター、マイク、ケーブルの構成が変われば重心も変わります。ズームレンズは焦点距離を変えただけで前後バランスがずれる場合があります。公式が最大積載量の数字だけでなく互換リストを案内しているのも、重量だけでは可否を決められないためです。
本体とカメラを合わせた総重量は長時間撮影で腕に響きます。CRANE 4は「重い構成を持てる」道具であり、「重い構成を軽く感じさせる」道具ではありません。イベントを一日歩いて撮るなら、ジンバルの安定性より一脚や手ぶれ補正付きレンズの方が適切なこともあります。

WEEBILL 3Eは初めてのカメラジンバルとして現実的
WEEBILL 3Eは本体約1.05kg、公式上の搭載目安3kgで、一般的なミラーレスと標準ズームを想定しやすいモデルです。縦位置撮影に対応し、PD充電とクイックリリースを備えます。CRANE 4ほどの大型構成や操作系を必要としない人には、こちらの方が価格と重量のバランスが良好です。
PetaPixelは入門から中級のクリエイター向けとして評価していますが、3kgという数字だけで手持ち機材を載せられると判断してはいけません。長いレンズは軸に干渉しやすく、総重量が範囲内でも重心を出せない場合があります。購入前には、カメラ本体だけでなく使用レンズとの組み合わせを確認する必要があります。
また、ジンバルは購入後すぐ映画のような映像を作る装置ではありません。歩き方、パン速度、被写体との距離、編集で使えるカットの長さを練習して初めて効果が出ます。旅行で数カット撮るだけなら、ジンバルを持ち運び、組み立て、調整する時間の方が負担になることがあります。
SMOOTH 5S AIは「純正カメラアプリで追尾」が強み
スマートフォン用SMOOTH 5S AIの特徴は、着脱式AI追尾モジュールです。専用アプリ内の画像認識だけに頼らず、iPhoneやAndroidの標準カメラ、ライブ配信アプリなどを使いながら人物を追尾できます。一人で料理、運動、製品紹介を撮る人には明確な利点です。
一方、第三者レビューではAIモジュールが人物追尾中心で、動作速度などの細かな調整はアプリ側ほど自由ではない点が指摘されています。ZY CamiやStaCamには一部有料機能があり、購入時に付属する利用期間が終わった後も必要な機能が使えるか確認すべきです。
つまり、標準カメラや任意アプリで人物を追う目的ならAIモジュールに価値があります。しかし、物体追尾、細かな追尾調整、編集テンプレートまで期待するなら、アプリ依存と課金範囲も比較材料になります。
MOLUS X100はZhiyunらしさが最も分かりやすい
MOLUS X100は100WのバイカラーCOBライトを約385gの本体に収めた製品です。公式仕様では色温度2700〜6500K、CRI 95以上、TLCI 97以上。DC電源、USB PD、別売またはセットのバッテリーグリップを使い分けられます。公式値ではリフレクターなし、1m、4300Kで3,881luxです。
小型パネルライトと違い、COBライトはリフレクターやソフトボックスで光を作れることが強みです。人物インタビュー、商品撮影、YouTubeのキーライトを、一般的な大型照明より小さなケースで運べます。Digital Camera Worldも携帯性と近〜中距離での出力を評価する一方、長時間使用時の発熱や、内蔵エフェクトがない点を挙げています。
注意したいのは「USB-Cなら手元の充電器で100W点灯できる」とは限らないことです。PDの電圧プロファイル、ケーブル、モバイルバッテリーの連続出力が適合する必要があります。また、バッテリーグリップで100%出力時の公称駆動時間は約30分です。長時間の室内撮影ではACアダプター、移動撮影では出力を下げる運用が現実的です。

G300は小型ライトの延長ではなく、スタジオ設備
MOLUS G300は通常300W、公式のオーバークロックモードで最大500Wを掲げるバイカラーCOBライトです。色温度2700〜6500K、CRI 95以上、TLCI 97以上で、Bowensマウントを使えます。灯体とコントローラーを分けた構成は、ライトを高い位置に置いても手元で操作しやすい利点があります。
一方、本体は約2.77kgで、スタンド、ソフトボックス、電源部、ウェイトまで含めると家庭の机に気軽に置く機材ではありません。500Wモードは消費電力、発熱、ファン音、ブレーカー容量まで考える必要があります。一般的な一人撮影ならX100やより低出力のライトを被写体に近づける方が扱いやすく、G300は広い空間、大きなディフューザー、複数人を照らす用途で検討すべきです。
DJIとZhiyun、どちらを選ぶべきか
| 判断条件 | Zhiyunが向く | DJIも優先して比較したい |
|---|---|---|
| 手持ちの構成 | 互換リストに明記され、必要機能が対応 | 新しいカメラや特殊構成で情報量を重視 |
| 予算 | WEEBILLなど価格差が大きい | 本体差が小さく追尾・映像伝送も使う |
| 操作 | スリング型の持ち方が合う | DJI RS系のUIやアクセサリーに慣れている |
| スマホ追尾 | AIモジュールで任意アプリを使いたい | 軽量さ、収納性、アプリ統合を優先 |
| ライト | MOLUSの小型高出力に魅力を感じる | ジンバルだけで完結させたい |
ブランド名で決めるより、カメラ制御、縦位置化、追尾、映像伝送、フォーカスモーターのうち、実際に使う機能を表にして比較する方が失敗を減らせます。追加アクセサリー込みで価格と重量を計算することも重要です。
日本で購入する前の注意点
第一に、公式互換リストでカメラとレンズの組み合わせを確認します。「載る」「録画開始できる」「絞りやISOまで操作できる」は別の対応項目です。第二に、国内流通品の保証窓口と並行輸入品の返品条件を比較します。モーター、内蔵電池、専用グリップを含む製品は、初期不良時の海外返送が大きな負担になります。
第三に、スマートフォンアプリの対応OS、有料機能、アカウント要否を確認します。第四に、ライトではAC100V対応だけでなく、プラグ、付属電源、PD充電器の必要出力、スタンドの耐荷重を確認します。大型ライトを軽いスタンドに載せると転倒事故につながるため、灯体だけの価格で予算を組むべきではありません。
公式ストアFAQの保証口径は、納品日から12か月の無償修理(アクセサリー類を除く)です。ただし、海外公式ストア、国内正規流通、並行輸入では返送先、送料、交換条件が同一とは限りません。購入画面の販売者名と保証窓口を保存し、内蔵電池を持つジンバルや専用バッテリーグリップは初期の充放電と長時間運転を返品期間内に確認します。
向いている人、向いていない人
Zhiyunが向いているのは、使用機材が決まっており、互換表を読んだうえで価格と機能を選べる人です。WEEBILLは初めて本格的な移動撮影を試す人、CRANEは重い構成を意図的に組む人、SMOOTH 5S AIは一人で人物追尾を使う人、MOLUS X100は小さな荷物で光を作りたい人に合います。
反対に、旅行で短い動画を数本撮るだけの人、バランス調整を毎回したくない人、最軽量を求める人、アプリやファームウェア管理を避けたい人には向きません。手ぶれ補正の強いカメラやスマホを両手で持つだけで十分な場面も多くあります。
結論:ジンバルの代替候補より、撮影システムとして見る
ZhiyunはDJIの代わりになるか、という問いには「対応機材と必要機能が合えばなる」が答えです。ただし、CRANE 4をDJI RS系より安いかどうかだけで選ぶと、互換性、総重量、追加アクセサリーを見落とします。WEEBILL 3Eの手頃さ、SMOOTH 5S AIのアプリ非依存追尾、MOLUS X100の携帯性は、それぞれ別の価値です。
現在のZhiyunを正しく評価するなら、ジンバル専業の二番手ではなく、「カメラを動かす機材」と「被写体を照らす機材」を両方持つ中国の撮影ブランドとして見るべきです。最初に買う一台はブランドでなく、撮る被写体、カメラ構成、撮影時間から選ぶのが安全です。
とくにジンバルでは、レンズの重量と全長がバランス調整を左右します。Viltrox Pro/LABレンズの焦点距離・重量・AFの選び方では、約560gの27mm F1.2 Proから約1.3kgの135mm F1.8 LABまでを整理しています。重い大口径レンズを動画で使うなら、カタログ上の耐荷重だけでなく、プレート上で前後の重心を出せるかまで確認してください。
※製品画像はZhiyun公式製品ページ掲載素材を使用しています。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。
- Zhiyun CRANE 4 公式製品ページ
- Zhiyun CRANE 4 カメラ互換リスト
- Zhiyun WEEBILL 3E 公式製品ページ
- Zhiyun MOLUS X100 公式仕様
- Zhiyun MOLUS G300 公式仕様
- Zhiyun 公式ストア日本語ページ(現行価格・在庫)
- Zhiyun 公式ストア 保証FAQ
- Digital Camera World:Zhiyun CRANE 4 review
- Amateur Photographer:Zhiyun CRANE 4 review
- PetaPixel:Zhiyun WEEBILL 3E review
- Yahoo Tech:Zhiyun SMOOTH 5S AI review
- Digital Camera World:Best video lights 2026