液晶ペンタブレットで絵を描くとき、写真を大量に現像するとき、動画のタイムラインを細かく動かすとき、右手はペンやマウスで埋まっています。キーボードのショートカットを探す代わりに、左手でボタンやダイヤルを操作するための機器が「左手デバイス」です。
代表的な製品がTourBox Elite Plus、Xencelabs Quick Keys、XPPen ACK05です。似た用途でも、操作思想はかなり異なります。
3製品の違い
| 製品 | 操作の特徴 | 向く用途 |
|---|---|---|
| TourBox Elite Plus | 形の異なる多数のボタン、ノブ、ダイヤル | 複数アプリを深くカスタマイズ |
| Xencelabs Quick Keys | OLED表示、物理キー、ダイヤル | 機能名を見ながら確実に操作 |
| XPPen ACK05 | 薄型、10キーとダイヤル | ペンタブ作業を低コストで補助 |
最も高機能なのはTourBoxですが、設定を作り込まなければ能力を生かせません。Quick Keysは表示による分かりやすさ、ACK05は価格と携帯性が強みです。
TourBox Elite Plus:手元を見ずに操作する設計
TourBoxは、ノブ、スクロール、ダイヤル、十字キー、大小のボタンを立体的に配置しています。形と位置が異なるため、慣れると手元を見ずに操作できます。
Elite PlusはWindowsとmacOSだけでなく、iPadやAndroidにも対応範囲を広げています。Clip Studio Paint、Photoshop、Lightroom、DaVinci Resolve、Final Cut Proなど、アプリごとに操作を切り替えられる点が強みです。
一方、最初からすべてを割り当てると覚えきれません。まず「取り消し」「ブラシサイズ」「ズーム」「キャンバス回転」など、1時間に何度も使う操作を5個程度登録し、必要に応じて増やすほうが定着します。
Xencelabs Quick Keys:表示がある安心感
Quick Keysはボタンの機能名をOLED画面に表示できます。アプリや設定セットを切り替えても、現在の割り当てを確認できるため、暗記への依存が少ない製品です。
ダイヤルはブラシサイズ、ズーム、タイムライン移動、露出補正など連続値の調整に向きます。複数ページのショートカットを切り替えられるので、写真現像や動画編集のように工程ごとに操作が変わる作業と相性が良いでしょう。
本体がTourBoxより細長く、机上の配置を選びやすい反面、ボタンの形状差は小さめです。完全に手元を見ずに使うというより、表示を確認しながら間違いを減らす道具です。
XPPen ACK05:まず試すための現実的な選択
ACK05は10個のショートカットキーとダイヤルを備えた薄型リモートです。XPPenのペンタブレットと組み合わせる製品ですが、対応環境では単体のショートカットデバイスとしても使えます。
多数の物理操作を組み合わせるTourBoxほど複雑ではなく、表示付きのQuick Keysほど割り当てを説明してくれるわけでもありません。しかし、消しゴム切り替え、ブラシ変更、拡大縮小といった基本操作には十分です。初めて左手デバイスを使う人や、持ち運びたい人に向きます。
作業別のおすすめ
イラスト
ブラシサイズ、キャンバス回転、ズーム、取り消しを頻繁に使います。ペンを持つ右手を止めず、左手のダイヤルで調整できる効果が大きい分野です。深いカスタマイズならTourBox、基本操作中心ならACK05が合います。
入力側の本体もこれから選ぶ場合は、HUION・XPPenの5万円以下の液晶ペンタブレット比較で、画面サイズやペン性能を先に確認できます。
写真編集
写真の選別、星評価、露出、色温度、コントラストなど、同じ操作を大量の画像に繰り返します。割り当て名が見えるQuick Keysは、LightroomやCapture Oneで工程別のセットを作る使い方に適しています。
動画編集
再生、一時停止、前後フレーム、カット、タイムラインの拡大縮小を集約できます。ただし、本格的なカラーグレーディングでは専用パネルのほうが効率的です。左手デバイスは編集全体を置き換えるものではなく、よく使う操作を手元へ移す道具です。
本当に速くなる人、ならない人
同じアプリで週に何時間も作業し、同じショートカットを繰り返す人は効果を得やすいでしょう。反対に、月に一度しか編集しない人、アプリを頻繁に変える人、設定を維持するのが苦手な人は、キーボードのままのほうが簡単です。
専用デバイスを増やさず入力環境を整えたい場合は、Lofree Flow 2・NuPhy Airの薄型キーボード比較も仕事机全体を見直す材料になります。
導入後は、操作回数の多い順に割り当てることが重要です。「できるだけ多く登録する」のではなく、「右手を止めている操作を減らす」と考えると失敗しにくくなります。
選び方
複数アプリを使い、手元を見ずに操作するところまで作り込みたいならTourBox Elite Plus。機能名を確認しながら、写真や動画の工程を整理したいならXencelabs Quick Keys。液タブ作業の基本操作を安価にまとめたいならXPPen ACK05が適しています。
左手デバイスは、購入した瞬間に制作を速くする機器ではありません。自分の反復作業を見つけ、少数の操作から割り当てを育てたときに、初めて効果が出るガジェットです。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。